「マイクロ小水力発電設備」の発電機(右)
「マイクロ小水力発電設備」の発電機(右)

 日本の棚田百選「大井谷棚田」が広がる吉賀町白谷の大井谷地区で、川の水の落差を利用した小水力の「大井谷棚田発電所」が完成した。電気は地区内の施設で用いられ、地元住民はエネルギーの地産地消を進める。(石倉俊直)

 自然エネルギーの普及を目指し、2019年に住民らで結成した柿木自然エネルギー学校実行委員会(斎藤邦夫代表)を中心に設置した。

 地元を流れる大井谷川の水をくみ取る取水所と、発電機や電気への変換設備で構成される。取水場所から発電機までの標高差は13メートルあり、ホースで送った水で発電機内にある水車を回すことで、毎時150~200ワットの電力を発生させる。

 17日には、同地区でこんにゃくなどの製造加工を手掛ける「棚田工房」(三浦弘子代表)で、発電所による電力を使って外灯を点灯させた。参加した岩本一巳町長や地元住民らが完成を祝った。

 発電所の電力は今後、同工房の家電製品の電源に活用する予定で、実行委の斎藤代表(71)は「自然に恵まれた吉賀町の資源を生かす取り組みを広げたい」と話した。