京都府立大に入学してすぐ、磯田道史(50)は自らの選択の結果にがくぜんとした。自分の将来が「制度」によって阻まれている―。「別の大学に行こうか」。通学の途中、鴨川に架かる北大路橋から川面を眺めながら方丈記の言葉をかみしめた。

 「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに…。泡みたいなものだよな、人間は。生まれ出たら、すぐ消える運命。心底やってみたいと思ったことはやった方がいい」

 鴨長明のような人生の無常ではないが...