第六章 バカンスの夢路(30)

 七月最初の日曜日だった。夏の風がさわやかに流れるのを髪で感じる。

 僕たちはこの日、金沢駅前に立っていた。「家族ケアラーのバカンス義務化を」のプラカードを掲げて。

 家族介護者を守...