鳥取県内で新型コロナウイルスの感染が急拡大している。約1カ月ぶりに感染者が確認された3月24日から4月20日までの1カ月足らずの間に四つのクラスター(感染者集団)が発生し、新規感染者は140人に上る。この「第4波」は感染者が急増する関西に近く、感染力の強い変異株が入り込んだのが一因。県は、家庭内や職場内でもマスクを着けるなど感染予防策をさらに強めるよう、県民に呼び掛けている。

 直近の約1カ月は、昨年12月~今年1月の2カ月間に141人の感染が発表された「第3波」を上回る増え方。クラスターは3月30日に倉吉市内の社員寮、31日に鳥取市内の接待を伴う飲食店、4月15日に同県北栄町大栄庁舎、16日に鳥取市の公立鳥取環境大で発生が認定された。

 特に倉吉のクラスターは関連を含む13人全員が変異株の感染者で、うち1人は大阪府を訪れていた。このケースが象徴するように、県外との往来で変異株が入り込んだことが、鳥取県内の第4波の特徴だ。

 県によると、4月7~13日の1週間に主に米子保健所管内で感染が確認された32人中27人について、県衛生環境研究所の変異株検査で約8割の22人が陽性。従来株の1・32倍の感染力があり、関西で主流の「N501Y変異」だった。32人の感染経路を分析すると、最多は家庭内の約45%で職場内が約20%、飲食店や仲間内の会食が約15%だった。

 15日の会見で平井伸治知事は「県外に出掛けて帰って来られた方や県外から来られた方が会食に参加し、感染の入り口になることが多い」と指摘。同日、PCR検査センターを県西部に開設し、検査態勢を強化した。東部と中部への開設も検討中だ。

 県は、感染が急拡大する大阪府や兵庫県との往来が一因とみて、これら感染拡大地域との往来や、感染拡大地域から訪れた人との飲食を避けるよう、県民に呼び掛けている。やむを得ず往来した場合は、帰県後2週間の健康観察期間を取ってから会食などを行うよう、協力を求めている。(福間崇広)