観光客や帰省客が投函(とうかん)すると必ず返事が届くポストが、島根県知夫村で設置された。新型コロナウイルス禍で遠のいた客足が戻りつつある中、住民有志が「島で暮らす人とつながるきっかけにしたい」と2カ所に置き、新たな交流を生んでいる。
(鎌田剛)
設置したのは20~80代の10人でつくる「知夫あおぞら郵便局」。1年前にSNS(交流サイト)で村宛の手紙を募集したところ、半年ほどで北は宮城、南は広島から約40通が届き、月に1度集まって返事を書いてきたグループだ。
かつて配達員だった「局長」の林正己さん(63)が、高校時代に友人とレコードや本の貸し借りをする際に手紙を添えたのを思い出し、「同じように手紙を書きたい人に返事を書いたら面白い」と考えたのが活動のきっかけだった。
送られてくる手紙は、季節のあいさつ、絵手紙、古里自慢、観光パンフレットを添えたものなどさまざまで、常連もいる。
島を訪れた人ともつながりを持とうと新たに設置したポストは、一般的な赤い郵便ポストと間違われないように青にした。
来居港の知夫里島観光協会と仁夫地区にあるホテル知夫の里に4月末に置くとすぐに絶景を楽しんだ感想の手紙が投函(とうかん)された。林さんは「字に個性が表れる手紙はすごいと感じる。交流人口を増やし、ゆくゆくは定住につながればいい」と願っている。













