ドラマで活躍する俳優で画家の国広富之さん(69)=東京都=の画業45年を記念した作品展を開催中の今岡美術館(出雲市天神町)で19日、国広さんのトークショーがあった。若い頃から近年の100点を紹介し「作るには心を自由にし、今までの概念を壊さないといけない。誰もやっていないことをするのが絵画の世界だ」と挑戦と探究の大切さを説いた。
国広さんは1977年にテレビドラマで俳優デビュー。同時期に独学で絵を描き始めた。
トークでは、若い頃に高級車やイルカを描くのに熱中した逸話を披露。ただ外国車を描くのではなく、サーキット場を勢いよく走る赤や黄色の車をモチーフにして自らの画風を確立したという。
63歳ごろからは、江戸時代中期の禅僧・白隠(はくいん)慧鶴(えかく)の作風に魅了され、水墨で描かれる禅画をあえて油絵で表現。「真我魂(まがたま)はここにあり」(縦228センチ、横182センチ)は、白隠に影響された最初のモノクロ作品で、複数の円の中に黒い拳を描いた。国広さんは「不思議な作品が生まれた。反響がよく、この頃から作風が広がった」と画家としての転機を語った。
7月18日まで。同17日にも国広さんのトークがある。月曜休館。入館料は一般600円、65歳以上500円、高校生以下無料。
(平井優香)