○言い訳はどうとでもなる縄のれん
くぐればそこはバラ色の春 (雲南)野 の 花
○入り口で袖を広げて待つ閻魔
最初はグーで負けたことなし (江津)花田 美昭
○おふくろとおやじにあってくれないか
オレオレと言うあんた誰なの (松江)山〓(崎の大が立の下の横棒なし)まるむ
○おまえらに負けるものかと力みすぎ
音も臭いも天下一品 (浜田)勝田 艶
失敗じゃない通過点です (雲南)安部 小春
○神仏困ったときにはよろしくね
時には礼を言ってくれぬか (江津)岡本美津子
○県民の思い伝えに上京し
フットワークの良さが売り物 (安来)廣江 茂
○コツコツと雨戸をたたく人は誰
魔法のとけたシンデレラ姫 (出雲)櫛井 伸幸
鶴を助けたおぼえはないけど (松江)小谷由紀子
みのひとつだになきぞかなしき(米子)板垣スエ子
小町は今宵もはやばやと寝て (益田)石田 三章
○酒タバコ成人式でやめました
やんちゃ坊主が今は警官 (益田)石川アキオ
○責任は感じるだけでとりません
そろいもそろって母親に似て (松江)森 笑子
○節分に年の数だけ食べる豆
こっそり分けてくれたばあちゃん
(出雲)野村たまえ
○地球外生命体は存在す
布団の地図はボクじゃないもん(出雲)岡 佳子
アンドロメダは涙のむこうに(奥出雲)青木 宗一
○トントンはとうに聞かれぬようになり
物置小屋でホコリをかぶって (出雲)石飛 富夫
○早いとこ結婚式をすませよう
私の髪がまだあるあいだに (松江)田中 堂太
○ひきだしで出番待ってる離縁状
あると思えば気が楽になる (浜田)滝本 洋子
○便利ですポンポンポンとつけるだけ
帽子にマスク忍者スタイル (安来)足立 尚
○包装紙段ボール箱ひも袋
ゴミ屋敷への第一歩です (雲南)横山 一稔
捨てられるのは僕のものだけ (美郷)芦矢 敦子
見てないようで子どもは見ていた
(浜田)米谷 昌子
○ほどほどの寿命でよいと言ったのに
まだかまだかと待つ月旅行 (出雲)行長 好友
頃合いなんぞ誰が分かろう(隠岐の島)大田 有子
始まっていた老いらくの恋 (松江)加茂 京子
○本人も真摯に反省してますし
掛け軸で爪研いでたたかれ (美郷)吉田 重美
○まあだだよもういいかあいまあだだよ
お済みですかなコロナワクチン(松江)高木 酔子
しびれがきれた時短要請 (出雲)はなやのおきな
○右側にこぶがあるのがいい爺さん
違いが分かる大人になりたい (益田)おおいしこ
○問題ない別人格の息子です
DNAはウソをつかない (江津)井原 芳政
○夢にまで出てくるようになりました
始めたばかりの家庭菜園 (安来)原田久美子
マスクをつけた人たちばかりで(大田)塩毛 千介
○わたしにもそんな昔がありました
孫が信じぬ超ミニスカート (益田)可部 章二
テレビをたたいて直すじいさん(松江)澄川 克治
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短句(七七)の下の7字句は、4字(音節)+3字(音節)のリズム(切れ目)にならないようにしてください。落ち着きが悪いのです。由紀子さんのもとの句は「覚えもないよ」ですが、4+4のリズムに変えました。尚さんはもと「忍者スタイル帽子にマスク」でしたが、上下を入れ替えて3+4で終わるようにしました。他にも手を加えた句がいくつかあります。
和歌の末句についても同じで、3+4や4+4があっても、4+3がないことを、百人一首などで実地にお確かめください。ただ、万葉集には大伴家持「春の苑紅にほふ桃の花下照る道に出で立つ乙女」の「いでたつ+おとめ」のような例があり、連歌にもごくまれにあるのですが、それらはわざと破調を狙って作っているのだと私は思います。
それでは、今月の入選句に五七五の長句を付けてください。今度は、7字のリズムにこだわる必要はありません。 (島根大教授)
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▽投句案内 宛先は〒690|8668松江市殿町383、山陰中央新報社編集局「レッツ連歌」係。はがき1枚につき3句まで。住所、氏名、年齢を明記してください。ペンネームでの掲載をご希望の場合は、その旨お書き添えください。締め切りは29日、当日消印有効。