18日間にわたる参院選の舌戦が9日、幕を閉じた。5人が立候補し、自民党現職と立憲民主、共産両党の新人2人による事実上の三つどもえの構図となった鳥取・島根合区選挙区(改選数1)では最終日、物価高対策や安全保障の在り方、新型コロナウイルス対応、地方創生などを争点に候補者が最後まで声をからして訴えた。決戦の行方は、有権者の投票に託された。 (取材班)

 自民現職の青木一彦候補は、生まれ育った出雲市大社町を皮切りに、出雲、安来、松江各市を遊説。コロナ急拡大を受け、有権者とのグータッチをお辞儀に変え、頭を下げ続けた。

 「あらゆる手段を講じ、ヒト、モノ、カネの流れを地方に戻す」と訴えに熱がこもるのが東京一極集中是正と地方創生。約550人を集めた松江市殿町の島根県庁前での最終演説では、3選を果たせば閣僚や党要職の「適齢期」となり存在感が高まることを念頭に「参院で発言力が増す。先頭に立ってふるさとを守る」と強調した。

 立民新人の村上泰二朗候補は、松江、境港、米子各市を巡り、選挙カーからしきりに手を振ってアピール。人出の多い場所でマイクを持ち、教育、子育て環境の整備や、物価高対策としての消費税5%への引き下げなど、生活に直結する施策の重要性を強調した。合区選挙区の候補で最年少の若さが売りで、体現するように演説後は走って聴衆の元に向かった。

 立民の県議ら約20人が集まった米子市明治町のJR米子駅前で最後のマイクを握り「子どもから高齢者まで安心できる社会に変えていこう」と訴えた。

 共産新人の福住英行候補は、境港、米子両市、鳥取県日吉津村を巡り、「戦争する国づくりを許さない」と身ぶり手ぶりを交えて憲法改正や防衛費増加への反対を主張。集まった聴衆に日焼けした笑顔を向けて、支持を呼びかけた。

 中国電力島根原発2号機(松江市)の再稼働反対には特に力を込め「再稼働ストップをはっきり訴えているのは私だけだ」と強調した。米子市車尾5丁目の県道沿いでの最終演説では、支持者10人を前に「原発ゼロを願う一票を託してほしい」と訴え、戦いを終えた。

 政治団体・参政党新人の前田敬孝候補は鳥取県日吉津村、松江、倉吉、鳥取の3市を巡り「食と健康」の重要性を主張。鳥取市東品治町のJR鳥取駅前での最終演説には約30人が集まり「子や孫のために美しい日本を残そう」と声を上げ、選挙戦を締めくくった。

 NHK党新人の黒瀬信明候補は選挙区には入らず、ユーチューブやツイッターで、NHKのスクランブル放送化の実現を訴えた。

 

◇鳥取・島根合区選挙区立候補者<改選数1、届け出順>

黒瀬 信明37 N新

福住 英行46 共新

村上泰二朗34 立新

前田 敬孝60 諸新

青木 一彦61 自現(2)(公(推))