勇壮な八神を舞う島後久見神楽保持者会の会員たち=島根県隠岐の島町久見、伊勢命神社
勇壮な八神を舞う島後久見神楽保持者会の会員たち=島根県隠岐の島町久見、伊勢命神社

 【隠岐の島】島根県隠岐の島町久見地区に古くから伝わる県指定無形民俗文化財「島後久見神楽」が15日夜から16日未明にかけて、地区にある伊勢命神社で奉納された。地区内外から50人が訪れ、月夜の下で繰り広げられる神々しい舞を見入った。

 地区住民や出身者でつくる島後久見神楽保持者会(八幡和憲会長、15人)が神楽のうち「前座七座(ぜんざしちざ)」と呼ばれる7演目を舞った。 伝統にのっとり、儀式舞の一つ「寄楽(よせがく)」から始めた。軽快な笛や太鼓の音を聞いて地区の人たちが集まり出すと、着物姿の女性会員2人が丁寧に所作をこなす「巫女舞(みこまい)」、白装束を着た4人の会員が息を合わせて舞台を回り、剣を抜いて勇壮なしぐさを見せる「八神(はっしん)」で境内を盛り上げた。

 本来は娯楽性のある演目を絡めて午前5時ごろまで続けるが、新型コロナウイルス対策で餅の配布を含め未明にお開きとなった。

 海士町豊田の会社員、長松久美さん(39)は「念願の久見神楽を見られて良かった。淡々と進み、剣の動きがすごかった」と喜んだ。神楽保持会の八幡会長が都合により立ち会えなかったが、会員の岩室裕造さん(58)は「一致団結してなんとか開催できた」と話した。

  (鎌田剛)