林田麻衣子医師
林田麻衣子医師

 夏休みが終わり、2学期が始まる。子どもたちにとって、長期の休み明けは大きなプレッシャーや精神的動揺が生じやすく、内閣府は「自殺対策白書」で注意を呼びかける。子どもや保護者はどう対応すればいいか、島根大学医学部付属病院(出雲市塩冶町)の精神科医で、子どものこころ診療部の林田麻衣子部長(44)に聞いた。 (聞き手は情報部・広木優弥)

 長期休みはどうしても生活リズムが乱れやすくなる傾向がある。年代問わず生活習慣が乱れると体、心の双方に不調が出やすくなる。まずは食事を三食とり、夜はしっかり寝て、適切な運動をするなど規則正しい生活を心がけることが大切だ。

 乱れた生活リズムを無理に戻そうとすると、それだけ体に負担がかかる。「学校に行こう」と思うことは大事だが、無理はしないでほしい。つらい気持ちや学校に行きたくないという思いは、信頼できる大人に素直に話そう。

 親ができることは、ささいな変化に気付いてあげることだ。表情が暗い、寝付きが悪い、ご飯を食べない、イライラしている、口数が減るなど、普段と違う行動が、子どもの心の不調につながっていることが多い。空振りになっても、少しでも様子が違うなと思ったら話しかけてほしい。

 特に、不安がある子どもは誰かに心配されていることに気付かない。「あなたを気にかけているんだよ」ということを、行動で示すことが、子の安心感につながる。

 どっしりと構えることも大切だ。子どもが「学校に行きたくない」「死にたい」と話すと、誰でも動揺する。その時子どもに不安感を与えないことが大事だ。子どもが勇気を出して話した内容を否定せず、「大変なのによく頑張ってきたね」とねぎらってほしい。

 学校への相談も有用だ。担任などを通じて、スクールソーシャルワーカーに相談するといい。

 気持ちを落ち着かせる方法は複数あるけれど、お勧めは「深呼吸」。呼吸を整えるだけで、気持ちを落ち着かせ、不安が軽くなることが多い。カフェイン摂取や長時間のインターネット使用を避けるのも効果があるとされる。自分がリラックスできる方法を探して、実践してみよう。

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 山陰両県には、人生に悩む人の相談を受ける「いのちの電話」がある。

【島根いのちの電話】
 0852(26)7575=平日午前9時~午後10時、土曜午前9時~日曜午後10時。

【鳥取いのちの電話】
 0857(21)4343=毎日正午~午後9時。