ウクライナ出身で鳥取県北栄町在住のマリーナ・ピロコバさん(37)が28日、境港市大正町のしおさい会館で講演し、ロシアによる軍事侵攻が続く母国への思いを語り「諦めるわけにはいかない。戦争ではなく平和のために頑張りましょう」と訴え、支援や関心の継続を求めた。
ピロコバさんは首都キーウから南東約400キロのカーミヤンシケの出身で、結婚を機に2015年来日。母国には両親や弟らが暮らす。
講演では、ウクライナの歴史文化や農業、自由を是とした国家の在り方を説いた後、砲撃を受けた街並みなど侵攻前後の写真を示して悲惨な状況を伝えた。
ロシアの侵攻に「未来のためにも負けるわけにはいかない」と憤りながらも「憎しみを育むのではなく、人間であり続けなければならない」と語った。身近で暮らす在日ロシア人について「ウクライナを支持してくれるロシア人のサポートも必要。彼らは苦しんでいる」とも訴えた。
講演は、同会館で29日まで開催中の「ウクライナ写真展」に合わせ、平和のための戦争展境港市実行委員会(由浪容子代表)が企画した。市内外の約60人が聴講した。
(松本稔史)