大山乗馬センター(鳥取県大山町赤松)が飼育する引退馬のたてがみを使った神楽面が完成した。競走馬として活躍した足跡を残すとともに、地域の伝統芸能に役立ててもらおうと、センターの創業50周年記念で制作され、3日に関係者や来場者にお披露目された。 (坂本彩子)
センターは、引退した競走馬約40頭とポニー3頭を飼育している。毎年、夏前に暑さ対策の一環で、たてがみを抜いたりすいたりしているが、使い道がないため捨てていた。
創業50周年に当たる今年、地域貢献に役立てられないかと考え、神楽面に活用する案が持ち上がった。スタッフの知人を介して西日登神楽社中(雲南市木次町西日登)とつながり、5月以降、2回にわたり、たてがみを贈った。
完成したのは茶と黒の毛を使った「番内」と「般若」のお面で、この他に舞台用のかつらも制作が進められている。
神楽面の髪やひげは従来、馬の毛が使われるが、現在は入手困難になり、輸入品や人工毛で対応することもあるという。西日登神楽社中の高尾佳男代表(78)は「人口毛と違い柔らかな雰囲気が出る。神楽の舞もより良くなりそう」と仕上がりに満足そうだった。
センターの北垣和宏代表(54)は「引退競走馬の足跡がお面に残せるだけでなく、伝統行事の継承に役立ちうれしい」と話した。
この日は完成を記念しセンターでたてがみの断髪式と出雲神楽の公演があった。神楽面は10月末まで、センター内のレストランに展示する予定。