日本新聞協会が7日、第42回新聞広告賞を発表した。大賞に次ぐ各部門広告賞のうち広告主部門で、島根県のUターン促進企画「親のひとことが島根へ帰るきっかけでした」が選ばれた。親子の絆を通じ、遠方に住む県出身の若者にUターンを促す内容。2021年8月14日付ラッピング、12月30日付見開き広告で山陰中央新報に掲載した。島根県の受賞は2年ぶり2度目。
広告は県地域振興部と政策企画局が企画。ラッピング広告の表面に都会で忙しく暮らす若者、裏面に島根で子を思う母親の様子を載せた。紙面上のQRコードにスマートフォンをかざすと約1分半の短編動画が流れ、母子が登場人物となって都会と島根の生活が対比される。紙面とデジタルの融合を図った。
大賞は殺虫剤製造販売・大日本除虫菊の「いま、いいよね。一方通行の新聞広告」。広告賞は広告主部門でほかに、アース製薬、味の素、ユニクロ、ロート製薬の4作品。新聞社企画・マーケティング部門では、岩手日報社、下野新聞社、信濃毎日新聞社、西日本新聞社、長崎新聞社の5作品が選ばれた。
各賞は東京都千代田区の帝国ホテルで開かれる第65回「新聞広告の日」記念式典で贈られる。2部門計281件の応募があった。
「こういうの好きです!」「心打たれました」県にメッセージ続々
第42回新聞広告賞広告賞に選ばれた島根県のUターン促進企画「親のひとことが島根へ帰るきっかけでした」は、紙面上のメッセージとスマートフォンの映像を絡め、親と子の絆をあらためて考えさせる作品。交流サイト(SNS)で「離れている長男を想(おも)い泣きそうになった」などの反響があり、親元と都会地をつなぐきっかけをつくった。
受賞作品は「親のひとことが」で始まる広報のキャッチコピーに、ラッピング紙面の裏面で「あの子のひとことは『帰ってもいいかな』のサインです」が呼応。表面、裏面とも、スマホでQRコードを読み取れば、それぞれ息子と母親を主人公にした、約1分30秒の短編動画が紙面の一部として視聴できる仕掛けになっている。
県には「こういうの好きです!」「心打たれました」「親も子も気持ちを話し合うきっかけになるといい」などの声がインスタグラム、ツイッターで寄せられた。動画は「ふるさと島根定住財団」のサイトでも視聴でき、新聞掲載当日の2021年8月14日のアクセス数は「普段の4倍以上」の1万3千件に上った。
「親の世代にも子の世代にも届きやすい広告」を模索しながら制作を手がけた、広告・デザイン業のノード(松江市竹矢町)のグラフィックデザイナー品川良樹さん(37)は「全体的なつくりは派手さのないシンプルなものなので、これほど注目されるのは驚いた」と振り返る。
動画の撮影、演出を担当した、映像制作のTK WORKS(松江市八雲台2丁目)のムービーディレクター武田冬也さん(33)が目指したのは「若者の個性を尊重する押しつけがましくない広告」。今回の受賞で「人の目に触れる機会がさらに増え、うれしい」と白い歯を見せた。
県の受賞は、新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた2020年の「帰省自粛啓発メッセージ」に続く2度目。県地域振興部の藤井洋一部長は「今後も新聞を開く読み手の姿をイメージしながら心に届く広報に努めたい」とコメントした。













