2週間ぶりの部活動を楽しむテニス部員=松江市上乃木1丁目、松徳学院高校
2週間ぶりの部活動を楽しむテニス部員=松江市上乃木1丁目、松徳学院高校

 新型コロナウイルスの感染拡大対策として島根県が要請した8月29日から9月11日までの部活動停止期間が終わり、12日にはグラウンドや部室に子どもたちの声が戻った。高止まりしていた感染者数は減少傾向となったが、子どもたちの活動に制約を課すことが正しかったのか、他に方法はなかったのか、生徒や保護者には疑問がくすぶる。

 12日夕、松徳学院高校(松江市上乃木1丁目)のテニス場には2週間ぶりにボールの弾む音が響いた。1年の長井将透(たすく)さん(15)は「久しぶりの部活に朝からわくわくしていた」と、ラリー練習などで汗を流した。期間中、テニス部員14人のうち秋の大会出場を控える4人を除き活動を停止し、久々に全員がそろった。

 2年の永田則天さん(16)も再開を喜ぶものの、県の停止要請に対しては「なぜ部活だけ厳しいのか。全ての人に厳しくするのなら納得できるけど」と今でも釈然としない。今後も感染の波が続く可能性があるが「ほかの方法で柔軟に対応してほしい」と求めた。

 県は10月11日までに開催される大会に出場するチーム、個人に限り、開催日1カ月前からの活動や練習試合を特例として認めた。ただ、浜田市は特例期間中の練習も中止し、より踏み込んだ対応を取った。

 浜田東中学校(浜田市下府町)陸上部2年の矢野咲良(さくら)さん(14)は、23日の記録会に向け自主練習を続けてきたといい「追い込んだ練習ができず、もどかしかった」と漏らした。練習を再開し「とにかく楽しい。(中止期間中)ストレスを相当感じていたんだと思った」と笑顔を見せた。

 今回の要請に対しては、子どもたち以上に保護者が反発し、県にも批判の声が寄せられた。江津市立青陵中学校PTA会長の坂手洋介さん(46)は「(部活動を)止めてしまうのは簡単だが、本当にそれでいいのか」と疑問を投げかける。

 感染拡大防止と経済活動との両立を図る県の姿勢には理解を示しつつも「感染対策を講じながら、なるべく子どもたちの活動を止めない方法でやってもらいたい」と要望した。
       (取材班)