やや軽い足取りで、NPO法人代表の亀井明子(74)ら女性たちが文部科学省から出てきた。昨年10月のことだ。学校で起きる性被害、「スクールセクハラ」の問題を早くから訴え、文科省に改善を求めてきた。
「担当者は積極的やった」。大阪から来た亀井がやりとりの様子を語ると、同行した神奈川大名誉教授の入江直子(77)も「今までとは違う」と手応えを口にした。2人は約30年、この問題の解決で協力する盟友だ。
被害者らの声を受け、この約5カ月前に「教員による児童生徒性暴力防止法」が超党派の議員立法で成立していた。学校で不祥事対策は敬遠されがちだ。だが、新法制定で文科省の姿勢が変わったと2人は感じた。
それでも亀井は「ほんの少し動いただけ。やっと、大変なことだという認識ができた。以前は学校で性被害なんて起きるはずがない、とよく言われたから」と嘆く。
▽母親の相談
亀井は大阪市立中学校の体育教師だった。...