島根県津和野町と岡山県津山市、大分県中津市の「蘭学・洋学三津同盟」締結記念シンポジウムが25日、同町後田の津和野藩校養老館であった。郷土の偉人でつながる3市町の連携の経緯や意義について、津山市の津山洋学資料館名誉館長を務める下山純正氏(68)が講演。町民ら20人があらためて蘭学・洋学のまちづくりを考えた。
津和野町は哲学者で政治家の西周、津山市は法学者・政治家の津田真道、中津市は啓蒙思想家福沢諭吉の出身地。いずれも幕末に蘭学や洋学を学び、1873(明治6)年に森有礼、加藤弘之らと共に近代思想の啓蒙団体・明六社を結成して西洋文明を広めた。
三津同盟は、相互連携して学術交流や観光振興につなげようと、2021年11月に締結。津和野町教育委員会主催のシンポジウムで、下山氏は、津田真道と西周がそろって1862~65年にオランダに留学した縁があり、1997年度に津山市、津和野町が共同で2人の顕彰事業を手がけたと、同盟締結の発端を説明。「人と人とのネットワークはつながっていく」と強調した。
その上で「2023年秋には3市町の資料館で明六社結成150周年を記念した企画展を開く。既に準備が進んでいる」と交流の深まりに期待した。
島根県津和野町部栄のNPO法人役員等農修さん(77)は「同盟は洋学を学んだ郷土の偉人がつなぐ縁。観光振興に結びつくいい試みだ」と話した。
(中山竜一)













