幕末に優れた蘭学(らんがく)・洋学者を輩出した島根県津和野町と岡山県津山市、大分県中津市が「蘭学・洋学 三津(さんしん)同盟」を結成し、学術交流する。3市町で共同研究や資料の相互貸借、企画展の共同開催などに取り組み「蘭学・洋学のまち」として一体的に情報発信し、観光振興につなげる。 (石倉俊直)
津和野町は、幕末から明治初期にかけて活躍した啓蒙(けいもう)思想家・西周(1829~97年)の出身地。国史跡に指定された旧宅が現存し、関連資料を展示する町郷土館もある。津山市は、法学者や政治家として活躍した津田真道(1829~1903年)、中津市は、著書「学問のすすめ」で知られる啓蒙思想家・福沢諭吉(1835~1901年)を生んだ。
三津同盟締結は発起人の谷口圭三津山市長が23日、定例会見で明らかにした。津山市と津和野町は1997年、オランダにある津田真道と西周の恩師フィッセリング教授の旧邸にメモリアルプレートを共同設置した交流の実績もあり「歴史的背景の共通性を持つ3市町が連携、協力して、蘭学・洋学のまちとして積極的に広報活動をしたい」と述べた。2020年度に津和野、中津両市町に提案し調整を重ねてきたという。
調印締結式は11月18日に津山市内で行う。22年は3市町の学芸員らのシンポジウム、23年には西周や福沢諭吉らが結成した日本最初の蘭学・洋学の学術団体「明六社」の結成150周年記念行事を予定する。
下森博之津和野町長は「三津同盟により、学術研究と観光振興への活用が大いに進むものと期待を寄せている」と話した。