蔵を改修した「RITA出雲平田 酒持田蔵」=出雲市平田町
蔵を改修した「RITA出雲平田 酒持田蔵」=出雲市平田町

 木綿街道(出雲市平田町)沿いにある酒造業の(株)酒持田本店(持田祐輔社長)が9月17日、国登録有形文化財の蔵を生かした一棟貸しの宿泊施設「RITA出雲平田 酒持田蔵」をオープンする。自社銘柄とイタリア料理のセットメニューの提供や美肌効果をうたう「日本酒風呂」など独自プランで、日本酒の新たな可能性を提案する。

 新型コロナウイルス禍による酒卸の不況に資材価格高騰や輸出鈍化が重なり、経営リスクの分散に向け、宿泊業への参入を決めた。築100年を超える土蔵を密が避けられる1日1組限定の宿として活用しようと、1500万円をかけて改修した。地上2階、地下1階で延べ床面積48平方メートル。1階にリビング、2階に寝室、地下に畳の間を設けた。定員は3人。料金は1泊2食付で1人3万2千円から。

 街道沿いの人気イタリア料理店「トラットリア814」と提携。コース料理に6種程度の日本酒を組み合わせた夕食で宿泊客をもてなす。冬のしぼりたて新酒から熟成古酒まで季節や料理によってラインアップを変える。

 また、島根県産業技術センターに自社の酒全種の分析を依頼。日本酒由来の美肌成分とされる「α―EG」に着目し、数銘柄をブレンドして入浴剤として使う酒を開発した。湯船につぎ足し、全身で日本酒を味わってもらう。

 運営は出雲市内で宿泊施設「NIPPONIA(ニッポニア)」を展開する(株)つぎと出雲(同町、小田切俊彦社長)が担い、年間の売り上げ目標は500万円。酒持田本店は賃貸収入を得る。
持田社長は「日本酒の新たなファンを増やすとともに、街道の周遊を促せる拠点にしたい」と意気込み、おかみの小村いず美さん(40)は「宿泊にとどまらず、この土地ならではの営みを感じてもらえる場にしたい」と話した。