吉備で主流のひつぎ「陶棺」を紹介する勝部智明学芸情報課長=出雲市大社町杵築東、県立古代出雲歴史博物館
吉備で主流のひつぎ「陶棺」を紹介する勝部智明学芸情報課長=出雲市大社町杵築東、県立古代出雲歴史博物館

 「出雲」や岡山県と広島県東部に当たる「吉備」にまつわる出土品を集めた企画展が7日、出雲市大社町杵築東の県立古代出雲歴史博物館で始まる。弥生時代や古墳時代を中心に、祭りに使われた銅鐸(どうたく)や土器、ひつぎなど481点を紹介し、両地域の特徴や交流を伝える。

 「出雲と吉備」と題し紀元前2世紀から8世紀までの出土品を展示。加茂岩倉遺跡(雲南市)の銅鐸と岡山県勝央町から出土した銅鐸は鋳型が同じ「兄弟銅鐸」で、弥生時代中期に共通の祭りをしていた証しとされる。弥生時代後期に葬儀で使われた出雲出土の土器の中には赤っぽい色が特徴の吉備の土器があり、交流があったことがうかがえる。

 古墳時代になると違いが鮮明になり、出雲では玉作りの砥石(といし)、吉備では製塩土器や鉄製品などが出土。手工業生産が活発になる中で、地域の特徴が表れている。ひつぎの展示では、出雲が石棺や木棺、吉備は土で作られた「陶棺(とうかん)」が主流だったことも紹介している。

 6日、報道向けの内覧会があり、勝部智明学芸情報課長は「展示の前半は出雲と吉備に共通するもの、後半は違いを見てもらいたい」と話した。

 会期は12月4日まで。18日と11月1日は休館。

(月森かな子)