小型個体燃料ロケットのイプシロン6号機に搭載された超小型人工衛星「KOSEN―2」は米子工業高等専門学校(米子市彦名町)など8高専が共同開発した。米子高専の学生や教員は12日、予想外の打ち上げ失敗に落胆し、後継機の開発に気持ちを切り替えた。
学生や教職員ら約30人は、打ち上げの様子を校内から中継映像を通して見守った。午前9時50分ごろに発射台から勢いよく上昇すると拍手を送ったが、間もなく破壊を指示する信号が送信されたと知ると、肩を落とした。衛星の制作に携わった電子制御工学科5年の吉岡玲志さん(19)は「打ち上げに行き着いた喜びと、破壊された残念さが入り交じり複雑な気持ちだ」と話し、後継機に望みを託した。
開発は米子高専の徳光政弘准教授が主導し、アンテナやセンサー、内蔵コンピューター、フレームなどの制作を各高専で分担した。3月から吉岡さんのほか、同科5年の市岡将太朗さん(19)と井勢陽人さん(19)が参加。完成した衛星は横20センチ、高さと奥行きが各10センチ、重さ2・7キロで、地球から送られる海底の地殻変動データを地球周回軌道上で受信、収集する実証実験機だった。
徳光准教授は「できる限りの力を注ぎ込んだので、やり切ったという思い。反省を踏まえ『KOSEN-3』の開発に生かしたい」と前を向いた。
(坂本彩子)