花馬を引き回しながら町内を練り歩く保存会のメンバー=出雲市多伎町口田儀
花馬を引き回しながら町内を練り歩く保存会のメンバー=出雲市多伎町口田儀

 【出雲】出雲市多伎町口田儀で19日、多伎藝(たきき)神社に奉納する伝統の「花馬(はなんば)」が3年ぶりに行われ、地元の男衆が折り紙製の色鮮やかな神事花で飾られた花馬を引き、勇壮に練り歩いた。

 「花馬」は毎年10月19日にある多伎藝神社の例大祭に合わせて五穀豊穣(ほうじょう)を願う神事。江戸時代に奉納していた記録が残る。第2次大戦中に途絶えたが、住民らが1972年に田儀花馬保存会を結成して復活させた。

 神事ではわらじを履いた保存会の男衆約40人が、竹串に1024個の菊を飾った高さ、直径とも約5メートル、重さ約700キロある花馬を引き、多伎藝神社までの約6キロを5時間かけて歩いた。「ホーサノサッ」のかけ声や太鼓を響かせ花馬を横に回転させる練り回しを各所で披露した。観客は息の合った迫力のある花馬に見入った。

 同地区の主婦川上美知江さん(67)は「花馬は彩りがきれいで楽しみにしていた。地域の行事が戻りつつあってうれしい」と喜んだ。

         (佐野翔一)