1970年代初め、燎原(りょうげん)の火のごとく全国に広がった学生運動は急速にしぼむ。一握りの人に牛耳られていた大学運営の民主化を訴え、デモや授業ボイコットで発露していた若者のエネルギーは雲集霧散。学内は闘争に敗れ、希望を捨てた学生の虚無感が漂った。

 米子市出身の作詞家、岡本おさみが愛用のノートに記した約260字の「唄のことば」は、シンガー・ソングライター吉田拓郎のアルバム「人間なんて」(71年)に収められ、時代を超え...