▽短歌 宮里 勝子選

雲一つ浮くを見て居(お)り人生をやがて終へゆく安らぎにいて     江 津 安田 秀子

 【評】昭和・平成・令和と生きて来た作者の身にしみて思うことは、戦争の悲惨さや戦後の生きづらさなど数え上げればきりがない。それらを乗り越えた安らぎの中にいる平安とは、心の持ちようによって得られるものと思われる。

電柱の影に吾が身を重ねつつ信号待ちの暑さを凌ぐ        松 江 福田美代子

 【評】記録にない猛暑が続いた今年の夏。わずかな電柱の影にさえ暑さを凌ぐ頼りなさが、身を重ねつ...