<短歌>

 ◇湖笛会松江(松江市)

食の無き戦死と聞きし義父なれば心をこめてご膳供うる 山本 令子

帰り来る三年ぶりの息子待つイカの刺身は透きとほる白 都田八重子

新調のタイヤの走りの滑らかさ予定にあらざる大山(やま)へと向かふ 佐伯 立子

補聴器に燕のさへづり聞きながら探せば一羽電線にゐる 古志 節子

ただ白く寄せては消ゆる波頭とき刻むらし晩年いつまで 安部 洋子

空家にも初夏の気配庭隅に〓(草カンムリに揖のツクリその右に伐のツクリ)草の花変らず咲きて 川井 恭子

はびこれる草...