「習近平の中国」を覆う愛国主義。同胞を結び付ける半面、異端者を排除する二面性を持つ。その光と影は、国交正常化から半世紀を経た日本との関係にどんな影響を与えているのか。第16回に続き、気鋭の在米中国人学者、汪錚氏に聞く。

 ―江沢民体制下の1991年に始まった愛国主義教育は、どんな展開をたどるのか。

 「キャンペーンは94年から本格化した。この年の8月、共産党は実施要綱を発表する。『民族精神を発揚し、結束力を高め、愛国主義思想を社会の主旋律とする』との目標が記されていた」

 「実現するには、党の指導の下で中華人民共和国...