消費者安全調査委員会(消費者事故調)は、幼稚園や保育園のプールで子どもが溺れる事故が相次いでいるとして、注意すべき点をまとめた動画を公開した。監視に専念する職員を配置するなどの対策を求めている。事故調は「新型コロナウイルス禍で自宅でのプール遊びも増えると予想される。目を離さないでほしい」と呼び掛けた。
事故調によると、神奈川県大和市の幼稚園のプールで2011年7月、3歳の男児が溺れて死亡。16~17年にも栃木県や埼玉県の保育園などで子どもが溺れた。
このため事故調は19年、首都圏の保育所など10カ所の協力を得てプール遊びの様子を計226時間撮影。プールの外から中をのぞき込んだり、子どもだけで水のそばにいたりする行動が多く見られ、事故につながる恐れがあると分析した。
事故調は、集団から離れた子どもや動きの少ない子どもは監視の目から逃れやすい一方で、子どもは水深が浅くても溺れたり、溺れても声を出せなかったりすることがあると指摘。重要な点として「監視の空白を作らない」と強調した。監視に専念できない場合は中止すべきだとした。
事故調は監視が不十分なケースを例示。(1)子どもの着替えの手伝いをしている間に他の子どもがプールに集まっている時(2)空気で膨らませるタイプなどのプールのへりが死角になっている時(3)終了後に再び遊び始めてしまう時―などを挙げた。
その上で、プールが広かったり、人数が多かったりする場合は、台に上るなど高い場所から全体を見渡すよう求めた。
記者会見した委員長の中川丈久神戸大教授は「自宅でも、食事の準備などで目を離したすきに事故が起きかねない。保護者にも見ていただきたい」と話した。