「馬車が買いたい!」「子供より古書が大事と思いたい」「衝動買い日記」…。タイトルからして奔放な知的欲求があふれだす、洒脱(しゃだつ)な評論やエッセーで知られるフランス文学者の鹿島茂さん。パリの古書や文物など「具体」を追求し続けた好事家は今、「抽象」に深い関心を寄せる。

 ▽パスカルの「配置」

 「興味の対象はいろいろあるけれど、重要なのはパスカルが言...