彫刻家で島根大名誉教授の倉沢実氏(1934~2011年)の名前を冠した「倉沢実記念館賞コンクール」の作品展が、浜田市下府町のいわみ文化振興センターで開かれている。石こうや木、金属などで創作した島根県在住者ら22人の立体作品32点が、来場者の目を引いている。6月30日まで。入場無料。
倉沢氏は栃木県日光市出身で東京芸術大を卒業。1975~98年に島根大教育学部で教壇に立つ傍ら、公共施設のシンボル像やモニュメントを多数制作した。島根県内では県庁前広場(松江市)の松平直政像や津和野町の鷺舞モニュメント広場の像を手掛けた。
コンクールは後進育成に力を注いだ倉沢氏の思いを受け、いわみ文化振興会が初めて企画。審査員長は元島根大教授で倉沢実記念館(浜田市)の間鍋武敷館長が務め、優秀賞1点、佳作2点、入選2点を選んだ。
優秀賞の「黄長の息吹~霞の彼方へ~」(出雲市・松本健志さん)は、金属で着色した石こうで長円形の球体を具現化。幾重にも切れ込みが入っており、軽快な流動感が評価された。組み木で波を表現したオブジェや、阿弥陀如来の木像といった工芸品の出品もあった。最優秀賞は、さらなる高水準の出品に期待し、今回は選ばなかった。
倉沢氏と親交があった同振興会の小川憲治理事長は「想像をはるかに超える素晴らしい作品が寄せられた。芸術を志す若者がこの地から生まれることを願っている」と話した。(勝部浩文)