工芸界最大規模の公募展「第69回日本伝統工芸展」(山陰中央新報社など主催)が開かれている島根県立美術館(松江市袖師町)で10日、同展第一次鑑査委員の三浦信一さん(64)のギャラリートークがあった。木竹工部門の展示会場を巡り、約50人が作品解説を通じて工芸の奥深さと魅力を発見した。
25日までの会期中全5回ある企画の初回。三浦さんは、漆で染めた縦ひごの精密で端正な編み方が目を引く最優秀賞・日本工芸会総裁賞の透網代花籠(すかしあじろはなかご)「朝露(あさつゆ)」(河野祥篁(かわのしょうこう)さん作)について、上から見るとレンゲの花のように見えるなど、さまざまな工夫があると説明した。「技法を遺憾なく発揮し、見所をなめらなか曲線に溶け込ませた美しい作品だ」と絶賛した。
自身の出展作・神代(じんだい)楡嵌(にれがん)荘匣「雨飾」(そうはこあまかざり)は、土に埋もれていたニレの木を使い、削り方を工夫し、雨が降る様子を表したと説明。「木の美しさだけでなく、加工によって工芸品の魅力を高めた」と語った。
雲南市大東町大東の中学校職員小山瑞貴さん(25)は「今までとは違った視点で作品を見ることができた」と満足そうだった。
11日は染織作家で重要無形文化財「江戸小紋」保持者の人間国宝・小宮康正さんの記念講演(午後1時半、聴講無料)とギャラリートークがある。
(石倉俊直)













