出雲大社の拝殿前で手を合わせ、ことし1年の安全や健康を願う初詣客。社務所によると元日の人出は新型コロナウイルス禍前に近づく20万人となった=出雲市大社町杵築東
出雲大社の拝殿前で手を合わせ、ことし1年の安全や健康を願う初詣客。社務所によると元日の人出は新型コロナウイルス禍前に近づく20万人となった=出雲市大社町杵築東

 新年を迎え、平和と健康、幸せを願う人たちが1日未明から各地の社寺で初詣の列をつくった。新型コロナウイルス禍の影響で近年減っていた遠来客の姿も多く、それぞれが静かに手を合わせた。

 出雲大社(出雲市大社町杵築東)では元旦、拝殿から大鳥居がある勢溜(せいだまり)まで約500メートルの列ができた。初詣客は、5日まで特別解放されている八足門内の楼門前の参拝所や拝殿でさい銭を投げ入れ、家内安全、学業成就、無病息災などを祈願。出雲市湖陵町三部の会社員辻村修一さん(40)は「一年間健康で、家族と楽しく過ごせるように願った」と話した。

 「卯(うさぎ)年」と絡め、祭神・大国主命が登場する神話「因幡の白兎(うさぎ)」にちなみ境内の随所にあるウサギの石像で、写真撮影する人もいた。

 社務所の発表によると、1日は昨年より約3万4千人多い20万人が訪れた。正月三が日の人出は50万人を見込んでおり、例年60万人だったコロナ禍前の水準に戻りつつある。

 日本五大稲荷の一つで、鎮座250年の節目を迎えた太皷谷稲成神社(島根県津和野町後田)では初詣客がさい銭のほか、油揚げを供え、新しい年の無事を祈った。縁起物やお守りを授かろうと列ができ、露店が並んだ参道もにぎわった。

 津和野町瀧元の大学4年生青木理紗さん(21)は「今年は新社会人になるのでいい年になるよう願った。自分なりの軸を持って行動したい」と話した。

 角河和幸宮司よると、山口、広島、福岡などの県外を含め初詣客数は戻りつつあり、三が日ではコロナ禍前並みの16万人を見込む。感染防止や安全確保の対策として本殿前や社務所前は順路を指定。韓国での雑踏事故も踏まえ、協力を呼びかけている。
(佐野翔一、藤本ちあき)