三瓶わさびバーガー(右)とわさびマヨネーズを手にする吉田真由美さん=大田市三瓶町
三瓶わさびバーガー(右)とわさびマヨネーズを手にする吉田真由美さん=大田市三瓶町

 国立公園三瓶山の名物・三瓶バーガーを販売する店が人気メニュー・わさびバーガーで使う、大田市三瓶町特産のわさび漬けを自社製造している。長年、提供していた地元商店の店主の高齢化と死去で作れなくなったためで、レシピと素朴な味を引き継ぐ。 (森みずき)

 三瓶山麓の県立三瓶自然館サヒメルの向かいにある三瓶バーガー本店は、年7万人が来店する人気スポット。2008年に広島県東広島市からIターンした吉田真由美さん(58)が09年にオープンした。

 地元食材を使ったメニューを考える中、三瓶町の葉ワサビに注目。移住したばかりで知り合いが少なかった開店当時、大谷商店(三瓶町志学)が協力し、わさび漬けを納品してくれたという。自家製マヨネーズとあえてトッピングした三瓶わさびバーガー(店内飲食807円)は、ぴりっとした辛さが肉のうま味を引き立て、シンプルな三瓶バーガー(同693円)と並ぶ一番人気の商品になった。

 しかし、大谷商店を1人で切り盛りした大谷幸恵さんが半年前に84歳で死去。2年前に体調を崩した際、「これから先に引き継いでほしい」と、入院先で幸恵さんの家族がレシピを聞き取り吉田さんに伝えた。

 教わったわさび漬けとマヨネーズによる「わさびマヨネーズ」は21年春に自社製造開始。22年12月には日本の優れた商品やサービスを国内外に発信する品評会「おもてなしセレクション」で金賞を受賞した。外国人審査員の講評に「肉や野菜に合いそう」「日本の食材として人気のワサビは現地で喜ばれる」と高く評価され、海外への販路拡大も見えてきた。

 吉田さんは幸恵さんを「大谷商店のお母さん」と呼び「わさび漬けはお母さんが自分で考案した味。これからもバーガーと一緒に広く愛されてほしい」と願う。わさびマヨネーズは本店や近くの国民宿舎さんべ荘のほか、大田市仁摩町大国にある道の駅ごいせ仁摩で販売する。価格は464円(税込み)。