海中から竹を担ぎ出す男衆=島根県隠岐の島町今津
海中から竹を担ぎ出す男衆=島根県隠岐の島町今津

 正月飾りや書き初めを詰めた「宝袋(さいふ)」と呼ばれる紙袋を竹につるして燃やす、島根県隠岐の島町今津の町指定無形民俗文化財「今津のとんど」が15日、地元の今津漁港であった。「とんど切り」と呼ばれる下帯姿の男衆が海に飛び込み、燃えて倒れた竹を担ぎ出す伝統行事で、約150人が家内安全や豊漁を祈りながら見守った。 (鎌田剛)

 海端に立てられた高さ約20メートルの3本の竹と根元に組んだやぐらに、朝日やタイなどの縁起物が描かれた計150個の宝袋がつるされた。「区民安全」などと書かれた吹き流しも飾られた。

 勇壮な太鼓演奏に合わせてやぐらに着火。わらや宝袋を伝って瞬く間に燃え上がり、竹が海へと倒れ込むと、とんど切りの19人が一斉に飛び込んだ。竹は縁起物として地区内の新築の家庭まで届ける習わし。今年は男衆が二手に分かれ、2本の竹をすすで黒くなりながら担ぎ上げ、そのまま「ワッショイ」という声を掛け合いながら運んだ。

 初めてとんど切りの立場で伝統行事に参加した同町下西の会社員高井佑希さん(28)は「海の中は寒かったが、楽しくできた」と震えながら話した。