2009年に起きた鳥取連続不審死事件の強盗殺人罪などで死刑が確定した上田美由紀死刑囚(49)が、刑の執行を受けることなく、広島拘置所で死亡した。食べ物を喉に詰まらせた窒息死と発表された。裁判では一貫して無罪を主張し、被害者遺族への謝罪はもちろん、事件の詳細を語ることもないままだった。何と表現していいのか言葉の見つからない幕引きとなった。
 (ニュースセンターデスク・多賀芳文)

 記者は大学生だった07年、上田死刑囚の子どもの家庭教師を務めた縁があった。子煩悩でたくましい母親という印象だった。記者として12年に鳥取地裁の法廷で再会した時は残虐な事件とのギャップに戸惑いながらも、顛末(てんまつ)を最後まで見届けようと腹をくくった。

 だからこそ、上田死刑囚が一審で...