卒業式での新型コロナウイルス対策のマスク着用について、山陰両県内の教育委員会が頭を悩ませている。政府がマスクを外しての実施を可能とする方針を決める中、大人数が集う場での感染リスクやクラスター(感染者集団)につながる懸念が拭えないからだ。晴れ舞台で学友の顔を見られる環境を整えたい思いもあり、難しい判断を迫られている。
厚生労働省にコロナ対策を助言する専門家組織有志は8日の会合で、マスク未着用での参加を容認する見解を提示。文科省も未着用を認める構えで、校歌斉唱や保護者ら参列者のマスクの取り扱いが決まり次第、全国の教育委員会に通知する方針だ。
両県の38市町村教委のうち、鳥取県の伯耆町教委は唯一、9日付で町内の小学校4校と中学校2校に「感染対策ができればマスクを外すことも可能」と通知した。卒業式の準備への支障を考慮して早期に判断した。ただ感染拡大への懸念は払拭(ふっしょく)しきれておらず、若林成人教育次長は「やりにくさを感じている」と話した。
島根県内の高校や特別支援学校など県立の計48校の大半が3月1日に卒業式を予定。数日後に国公立大の2次試験を控える生徒も多く、特別支援学校には重症化リスクの高い子どもも在籍する。
県教委学校企画課の伊藤康子調整監は「感染を警戒する声は根強く、コロナ前のような卒業式が戻るのは難しそうだ」とし、文科省から通知が来た場合も各校の判断に委ねることになるとの見通しを示した。
県立高校24校と特別支援学校8校を所管する鳥取県教委は9日の対策本部会議で、文科省からの通知を考慮し来週にも方針を示すことを確認。県教委の林憲彰次長は「感染リスクが高い児童生徒や受験生、入試に対応する高校の教職員への配慮を考えないといけない」と述べた。
生徒や保護者の心情を考慮して、マスクを外すことを許したいとする思いもある。八頭町教委学校教育課の前田徹課長補佐は「最後くらいは保護者にもマスクのない顔を見せてあげたい」とし、校歌斉唱時には着用するなど、場面に応じて使い分ける方法を検討していると明かした。
(取材班)












