KJ法をご存じだろうか。文化人類学者の川喜田二郎氏が考案した情報の整理法であり、この方法を論じた1967年の著書『発想法』は、現在でもなお広く読み継がれている。
KJ法では、データをカードなどに記入し、そのカードをグループごとにまとめることで、集まった膨大な情報を整理する。この方法を、グループワークやブレインストーミングなどで経験した人も多いだろう。みんなでわいわい言いながら、多様な意見をまとめていく作業は楽しいが、やってみるとなかなか難しいと思った人もいるかもしれない。
が、ここで書きたいのは情報整理法としてのKJ法ではない。川喜田氏の著作をよく読んでみると、KJ法は情報整理法に尽きるものではなく、広くは民主主義にも応用可能であることが分かる。ポイントは加乗減除、すなわち足し算、かけ算、引き算、割り算である。よく耳にする加減乗除の順ではないことに注目する必要がある。
足し算とはまず、そのテーマについて、参加者が情報やアイデア、思いなどを自由に出し合うことだ。みんなが言いたいこと、思ったこと全て出すことが重要で、その段階では良い悪いを言わないことが肝要である。民主主義に置き換えれば、一人一人の市民が意見を述べる機会を持ち、それを他の人がきちんと聞くことである。
次のかけ算は、出てきた情報やアイデアを相互に関連付けることであり、...













