まずは言い訳をさせてほしい。山陰広告賞の審査が終わり、私が携わった「新聞を配ることは、気を配ること。」のシリーズがグランプリとなった。自分が審査委員長なのに自分の作品を選ぶのかよと思う人もいるだろう。私が出品者ならそう思う。なので、自身の作品については判断を控えた。グランプリは私以外の審査員4名の総意であったことをご理解いただきたい。
今回はデザインのレベルが高かった。町や建物など広告の領域を超えてデザインしているものもあり、非常に判断に悩んだ。改めてデザインとはなんぞやと考えた。
あなたはおなかが痛い。早くトイレに行きたい。トイレに迷わず駆け込めるようにトイレのピクトデザインがある。一息ついたあなたは便座に座りながらスマホで友人にメッセージを送る。簡単にメッセージが送れるようにスマホにはUIデザインが施されている。
「design」に「sign(記号)」が入っているように、記号などビジュアルで伝えるのが主であるが、キャリアデザイン、デザインパーマ、スペイン代表のサッカーは全てがデザインされている、なんて言ったりもして混乱してしまう。
「計画」「設計」といった言葉を「デザイン」に言い換えただけのものもあるし、デザインパーマのように「デザイン=見た目」という意味だけで使われていることもある。
デザインとは人に何かの行為をさせるために考案されたもの。トイレに誘導するために人型のマークがデザインされた。「お尻を洗うためにここを押してください」と...