カーラ・ボノフの「ささやく夜」
カーラ・ボノフの「ささやく夜」

 カーラ・ボノフは1968年にプロ活動を開始し、バンド活動を経て77年にソロアルバムデビューを果たした。

 セカンドアルバム「ささやく夜(Restless Nights)」を初めて聴いたのは高校3年の時。友人が貸してくれたレコードに針を降ろした時の衝撃は今でも忘れない。それまでビートルズをはじめ多くの洋楽を聴いてきた。どのミュージシャンも素晴らしく、比較はできないが、カーラ・ボノフは今まで自分が聴いてきた楽曲とは明らかに違っていた。ウエストコーストの渇いたサウンドと美しいメロディーラインに初めて触れた瞬間だった。

 カーラ・ボノフはリンダ・ロンシュタットと親交があり、彼女のバンドにも参加している。当時のトップシンガーであったリンダに曲を提供したことから知名度が上がり、76年にコロンビアレコードと契約をしている。また、ジェームス・テイラーなどのウエストコースト界の大御所も彼女のアルバムに協力していることからカーラ・ボノフがいかに優れたミュージシャンであることが分かる。

カーラ・ボノフのベストアルバム「オール・マイ・ライフ」

 ソロとしては4枚のアルバムを出している。経歴から言えば少ない枚数かと思う。全てのアルバムを聴いたが、このセカンド・アルバムが初めてのカーラ・ボノフとの出合いであったのでとても印象深い。

 かっこいいカットギターから始まる「涙に染めて(Trouble Again)」、アルバムタイトルとなっているメロディアスな「ささやく夜(Restless Nights)」、ウエストコーストの空気いっぱいの「眩(まぶ)しいひと(When You Walk In The Room)」など名曲ぞろいの圧巻のアルバムである。

 そんなカーラ・ボノフを2019年に来日した際に念願かなってライブで間近に見ることができた。最盛期はとうに過ぎていたが、年を取っても精力的に音楽に携わる姿勢と変わらない歌声に感動した。

 ウエストコーストの音楽の魅力とカーラ・ボノフの魅力がたくさん詰まったセカンド・アルバム「ささやく夜」を入り口にぜひとも多くの人に聴いてほしいと思う。また、他の3枚のアルバムもそこから聴き広げてもらうとカーラ・ボノフの魅力に引き込まれると思う。
  (H.Kato)
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