まるで電話ボックスのような箱形の個室という一風変わったカラオケが、松江市のアミューズメント施設に登場した。通常のカラオケとはどう違うのか、利用してみた。(Sデジ編集部・吉野仁士)
変わったカラオケを設置したのは松江市嫁島町のホームランドーム松江店。バッティングセンターのほか、卓球やテニス、サッカーといったさまざまなスポーツが楽しめる店だ。カラオケは入店して左手にあるバッティングセンターの一角に設置された。
黒色を基調にした縦長の個室(150センチ四方、高さ240センチ)の上部に「カラオケ」と書かれ、両側面にあるスピーカーからは有線放送の音楽が大音量で流れる。ドアを開けて中をのぞくと、いすが2脚とカラオケの電子目次本が埋め込まれた机、正面には大画面があった。電話ボックスよりもやや幅があり、並んでなら4人が入れそう。部屋の広さ以外は通常のカラオケと大差はない。

▼1曲100円、手軽さが売り
末永太一店長(26)によると、設備はカラオケボックス事業最大手の第一興商(本社・東京都品川区)が開発した「COCOKARA(ココカラ)」。同社はカラオケ機種のDAM(ダム)を運用することで知られる。ココカラはショッピングセンターやアミューズメント施設を中心に全国で約100台を設置し、山陰両県では初めてという。
誰しも時折、歌いたい気分になる時はあるが、通常のカラオケといえばグループで利用するイメージ。カラオケには行きたいが、友人を誘ってまで行くのはおっくうで、1人だけで利用するのは店員の目が気になって、なんとなく尻込みする。1人で何十曲歌うのも疲れ果ててしまいそうで、「1人カラオケ」はハードルが高く思える。
ココカラは利用する際の手軽さが売りで、1曲につき100円を機械に投入すれば、通常のカラオケと遜色ない環境で歌える。店員とやりとりすることなく、2、3曲を軽く歌うだけでも楽しめる。

第一興商山陰支店営業開発課の光谷和馬さん(25)によると、歌える楽曲はダムと同様、約30万曲。光谷さんは「カラオケ内は防音仕様で、ヘッドホンを着けて歌うため、周りを気にする必要がない。ヘッドホンからは自身の歌声も聞こえるため『歌に集中できる』と好評の声をもらっている」と魅力を説明した。個室だが、最大4人まで同時に入れるため、グループでの利用も可能だという。
▼記者が体験、使い心地は
学生の頃に何度か一人カラオケをしたことはあるが、社会人になってからの9年間は足が遠ざかっている。コロナ禍で近年はカラオケボックスにも行っていない。
ココカラの扉を開けるには、気恥ずかしさがあったが、勇気を振り絞り、利用してみた。ヘッドホンを装着し、通常のカラオケと同様に音楽やマイクの音量を調節する。以前、取材先で冗談好きの店主から福山雅治さんに似ていると言われたことがあるため(福山ファンの皆さんごめんなさい)、福山さんの名曲「家族になろうよ」を選曲した。
ヘッドホンから曲が流れる。雑音が遮断されるため、通常のカラオケよりもはっきり音楽が聞こえるように感じた。個室内には自分だけで、正面はほぼ全面が大画面。人前では恥ずかしくてできないような、くどい歌い回しも、ポーズもやりたい放題で、光谷さんの言う通り、全く気兼ねすることなく歌に没頭できた。
消防法の関係で個室内は完全密室ではなく、天井部分が空いている。歌声が漏れないか気になったが、外ではスピーカーから大音量で音楽が流れているため、歌声は周囲にほとんど聞こえないようだ。

没頭し過ぎて採点結果は83点と目標の90点台には及ばなかったが、これまで経験したことがないような満足感を覚えた。仕事帰りや休日に少し時間がある時、通いたくなると感じた。
ホームランドーム松江店では現在、カラオケ関連のイベントを開催中。採点でぞろ目の点数や高得点を取ると、景品やメダルがもらえる。末永店長は「景品には限りがあるので、歌に自信がある方はこの機会にぜひ挑戦してみてほしい」と来店を呼びかけた。
最近カラオケに行っていない、でもがっつり何時間も歌うほどではない…。そんな人にお薦めのスポットだ。営業時間は、平日は午前10時~翌日午前0時、土日と祝日は午前9時~翌日午前0時。年中無休。