足立美術館(安来市古川町)の春季特別展「メモリアル 節目を迎えた日本画家たち」が1日、始まった。生年・没年の周年を迎える画家17人の計36点が並ぶ。生誕155年、没後65年となる横山大観(1868~1958年)の作品が特に目を引き、出世作「無我」など発想の豊かさを感じさせる。5月31日まで。
「無我」は横山大観が新進気鋭の29歳の頃の作品で、悟りの境地を表す。高僧の姿で表しがちなテーマを、あどけない表情の子どもで表現した点が斬新。3点ある「無我」のうち足立美術館所蔵は墨画淡彩の1点。東京国立博物館などにある鮮やかな彩色の2点とは趣が異なり、興味深い。
大観は数多く富士山を描き、それぞれ工夫を凝らした。展示作品で晩年の「乾坤(けんこん)輝く」はわずかな墨のほかは青と金、白(胡粉(ごふん))だけで、七筋の光を放射する富士山を描き、神々しさが際立つ。
このほか生誕150年の川合玉堂、生誕140年の橋本関雪らの作品もある。
午前9時~午後5時(4月からは午後5時半まで)。年中無休。入館料は大人2300円、大学生1800円、高校生千円、小中学生500円。
(桝井映志)