見つかったダイオウイカを観察する園児=6日午前、島根県知夫村(ちぶり保育園提供)
見つかったダイオウイカを観察する園児=6日午前、島根県知夫村(ちぶり保育園提供)

 島根県知夫村沖で体長2メートル30センチのダイオウイカ1匹が見つかり、近くで船釣りをしていた地元の男性が岸に引き上げた。専門家によると成熟した雄と分かる個体で、発見は珍しいというが、腐敗やカラスの餌になる恐れがあることから海中で処分された。

【動画・写真】隠岐でダイオウイカ見つかる

 ダイオウイカは6日午前、同村に住む山(やま)穂(めぐみ)さん(78)が釣りを切り上げて港に戻ろうとしていたところ、神島と沖ノ島の間で漂流しているのを発見。魚を引っかける漁具とロープをつなぎ、30分かけて郡地区の漁港に引っ張って帰った。すでに息絶えていたが腐敗臭はしなかった。近所の人やちぶり保育園の園児約10人が集まって、大きな体や太い脚を観察した。

 保存が困難なことから同日午後、山さんが再び船で引っ張り、沖に流した。山さんは「島の人たちがいっぱい集まり、喜んでくれた。いっとき村のニュースになった」と笑顔で振り返った。

 頭足類(イカやタコの仲間)の進化・発生が専門の島根大隠岐臨海実験所(島根県隠岐の島町加茂)の小野廣記助教(36)によると、精子の入ったカプセルのような精莢(せいきょう)が確認できる雄の成熟した個体で「生態的な姿が現れているので、手に入れば研究者が本当に喜ぶ」と指摘。通常は深場にいるが、水温の低下で弱って浮いてきたとみられるという。
       (鎌田剛)