大阪市のアメリカ村に島根県邑南町の食材が楽しめるダイニングバー「どらねこ商店」がオープンした。同町の特産品、石見ポークの料理や地酒が楽しめる。今後は山陰両県のアンテナショップとして邑南町以外にも特産品の品ぞろえを増やし、大阪の若者のまちから島根、鳥取の魅力を発信していく。 (邑南通信部・糸賀淳也)

 オープンした2月下旬。15人ほどが入れるこぢんまりとした店内は初日から満席。石見ポークの料理を食べたお客さんからは「石見ポークうまいね」「もろみがおいしい」などと喜びの声が上がった。邑南町から駆けつけた石見ポークの生産者の服部功さん(41)は「感慨深いですね」と笑顔で話した。

どらねこ商店の店頭。DA PUMPなど有名アーティストからの開店祝いの花が並ぶ=大阪市内


◇古里へ新しい流れをつくりたい

 「どらねこ商店」を開店したのは邑南町出身で、大阪市で活動する野田峻也さん(33)。矢上高校卒業後に大阪市に出てきた野田さんにとって第二の古里で、若者文化の発信拠点、アメリカ村から山陰の魅力を発信し、新型コロナウイルス禍で観光客が減っている古里へ新しい流れを作りたいと、店を開くことを思いついた。山陰両県でこだわって特産品を手がけている事業者に、これまでなかった大阪での提供場所にしたいとの思いを込めた。

店内入口は昔の電話ボックスのような一風変わったデザイン=大阪市内、山陰食材 どらねこ商店

 

昔の電話ボックスのような扉から店内に入ると、おしゃれな空間になっている=大阪市内

 料理は石見ポークをメインに常時10品は扱う。料理の監修は野田さんの同級生で、邑南町で「ダイニングPOND」を営む池本龍二さん(33)が務め、スペアリブ(2~3本500円、4~5本900円)やロースカツ(1200円)などを用意。豚バラ(850円)などの料理には邑南町の老舗醤油店「垣崎醤油店」(邑南町中野)で扱うもろみをつけた。加茂福酒造(同)の「死神」など町内3酒造の地酒も並べた。

「どらねこ商店」で扱う石見ポークのスペアリブ

 石見ポークを扱う店舗は大阪府内では約20店舗ほどあるというが、どこも1品ほどで石見ポーク生産者の服部さんは「こんなに大阪で石見ポークの料理を扱ってくれる店はほかにない。石見ポークの認知度が上がるきっかけになればうれしい」とし、池本さんも「有名人にも石見ポークを食べてもらえたら」と期待した。

石見ポークのロースカツ

◇テークアウトで邑南町のスイーツも
 「どらねこ商店」ではテークアウト商品として邑南町香木の森公園近くのカフェ「Milk&BeansMui」で扱う、自然放牧の牛乳を使ったソフトクリーム(523円)やシュークリーム(415円)も「たべる牛乳」のキャッチフレーズで販売する。大阪での手土産、アーティストや俳優への差し入れ、お取り寄せなどで人気だという。

 石見ポークの本格的な料理はもちろん、人気のスイーツまで邑南町を味わえる魅力的な店になっている。

邑南町のシュークリームが大阪でも味わえる

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「山陰食材 どらねこ商店」の営業時間は午前11時から午前0時。電話06(6227)8909。