第20回統一地方選の幕開けとなる9道府県の知事選が23日、告示された。島根は無所属現職と新人2人が立候補し、現職と共産党新人の事実上の一騎打ち。鳥取は県政史上最多の5選を目指す無所属現職に共産新人が挑む。人口減少に歯止めがかからず、新型コロナウイルス禍、物価高騰が県民生活に追い打ちをかける中、経済回復の道筋をどう示すかが問われる。中国電力島根原発2号機(松江市鹿島町片句)の再稼働の是非も争点。今後4年間の県政のかじ取り役が決まる4月9日の投開票に向け、17日間の論戦が始まった。
島根県知事選には届け出順に、共産党新人で党県西部地区委員長の向瀬慎一氏(52)と、無所属現職で自民、立憲民主、公明、国民民主各党や連合島根が推す丸山達也氏(53)=1期、諸派新人で元浜田市議の森谷公昭氏(67)が立候補した。
向瀬候補は、松江市袖師町の選挙事務所前で、党の元国会議員や県議、支持者ら約70人を集めて第一声に臨んだ。
昨年6月に島根県が島根原発2号機の再稼働に同意したことに対し「(当選すれば)撤回する。再生可能エネルギーの研究や省エネを進めていき、原発ゼロの日本をつくる」と主張。老朽化が進む道路や水道施設の補修をはじめ、災害に備えたインフラ整備の必要性を強調した。物価高騰のあおりを受ける農林漁業、中小零細企業への支援拡充を訴えた。また、少人数学級の見直しを決めた丸山県政を批判した。
丸山候補は、同市殿町の県庁前で、推薦を受ける各党の地方組織幹部や地元選出国会議員、団体関係者など約750人を前に第一声のマイクを握った。
人口減少対策として掲げた「島根創生」がコロナ禍で道半ばとなったことに触れ「(再選して)取り組みを継続、強化していく。素晴らしい島根を将来に引き継ぐため全力を傾ける」と強調した。引き続き政府の財政支援を活用した上でコロナ、物価高騰対策に当たるとし、家計や事業者を含めた県内経済の回復を図る考えを示した。国会議員、県議会、市町村、各業界との連携を図り、政策を進める決意を語った。
森谷候補は、街頭での第一声は行わず、県庁内で報道各社の取材に応じた。原発の避難計画の見直しや情報通信技術(ICT)を活用した教育振興の必要性を語ったほか、居住する浜田市の市政批判を展開。「主張を今後の県政に生かしてもらえればありがたい」と語った。
22日現在の県内の選挙人名簿登録者数は55万2640人(男26万3259人、女28万9381人)。
(白築昂、片山皓平)
■島根県知事選立候補者(敬称略、届け出順)
向瀬 慎一(むこせ しんいち)(52歳、共産新)
党島根県西部地区委員長。日本民主青年同盟県委員長などを経て、2015年から現職。11年の島根県知事選と衆参計7回の国政選挙に立候補した。山形大大学院工学研究科修了。石川県宝達志水町出身。浜田市金城町下来原。
丸山 達也(まるやま たつや)(53歳、無所属現=(推)自民、立民、公明、国民)
元総務官僚。1992年、自治省(現総務省)に入省。2013年4月から3年間、島根県に出向し、環境生活部長、政策企画局長を歴任。19年知事選で初当選した。東京大法学部卒。福岡県広川町出身。松江市内中原町。当選1回。
森谷 公昭(もりたに まさあき)(67歳、諸派新)
税理士。政治団体代表。会計事務所勤務を経て、1985年、東京で税理士事務所を開業。89年、浜田市に不動産会社設立。2013年10月の浜田市議選に初当選し、1期務めた。中央大商学部卒。浜田市出身。同市日脚町。