島根、鳥取両県知事選が25日、告示後初めての週末を迎えた。島根では、共産党新人が松江市に集中して活動する一方、無所属現職は県西部の中山間地域を巡った。鳥取では、共産党新人と無所属現職が大票田の米子市で主張を戦わせた。 (取材班)

<島根>

 共産党新人の向瀬慎一候補(52)は有権者数約17万人の大票田・松江市に活動の照準を絞った。

 皮切りは午前9時の同市八幡町内での演説。中国電力島根原発2号機(松江市鹿島町片句)の再稼働同意の撤回を訴え「住民避難もできない、核廃棄物の処理方法も決まらない中で、島根原発は廃炉の決断しかない」と力を込めた。

 大雨時に市内でも浸水被害が発生する可能性があることから「命と暮らしを守る県政を進める」と災害対策の必要性を主張。激戦となる県議選松江選挙区に立候補を予定する現職県議も同行し、県政への批判や党の政策を連動して訴えた。

 大型店前や幹線道路沿いなど人通りが多い場所に狙いを定め、計12カ所で声を張り上げた。

 対照的に無所属現職の丸山達也候補(53)の姿は、県最西端の津和野町にあった。午前9時半、同町後田の商店街に集まった商工、農業関係者など約80人を前にマイクを握った。

 「山陰の小京都」と呼ばれ、城下町の風情が残る町並みを「貴重な観光資源だ」と高く評価する一方、新型コロナウイルス禍の影響がまだ色濃く残っていることを強調し「厳しい状況を打開するため、島根の政治に携わる皆が一致結束して政府に政策転換を求めていく必要がある」と語気を強めた。国会議員や市町村と連携しながら、国に対し物価高騰対策の充実を求めていくことを訴えた。

 この日の街頭演説は3カ所のみ。吉賀町から益田市、浜田市へと、県境に近い中山間地域へも選挙カーを走らせ、同市金城町での演説で締めくくった。

 諸派新人の森谷公昭候補(67)は午前8時過ぎ、浜田市竹迫町内のバス停前で動画配信サイト投稿用の撮影を行い、居住する浜田市への批判を展開。動画の編集作業や選挙ポスター掲示の準備を進めた。

 

<鳥取>

 共産党新人の福住英行候補(47)は地元・米子市での活動に多くの時間を当てた。

 同市末広町の市文化ホール前では、党所属の国会議員や県内の地方議員と共に、約150人を前に演説。自身が3人の子を持つ子育て世代だとアピールし「学校給食費や子ども医療費完全無料化を進める」と力を込めた。同市淀江町小波での産業廃棄物管理型処分場建設計画は「県の豊かな自然環境を守るため白紙撤回する」と誓った。支持者と固い握手やグータッチで触れ合い、支持拡大を呼びかけた。

 無所属現職の平井伸治候補(61)は米子市内の住宅街を中心に遊説。新型コロナウイルス禍や物価高からの再興を目指すと訴え「再興、最高、さあ、行こう」を合言葉に聴衆をあおり、拳を突き上げた。

 同市石井では、支持者ら約20人を前にコロナ感染者数を全国最少に抑えている実績を強調。医療関係者と連携した迅速な対応に加え、予防意識の高い県民のおかげだとし「絆の力があればどんなことでも乗り越えられる」と訴えた。今後10年間で生産額1000億円を目指す農業振興や、英語教育の強化といった公約も説明した。