【隠岐の島】複雑な所作を厳格に守り、弓で的を射る島根県隠岐の島町の指定無形民俗文化財「花生(はないけ)神社祭礼風流(百手(ももて)まつり)」が28日、同町津戸の津戸漁港で営まれた。氏子代表の「役主」2人が早朝から地区に伝わる手順に沿って準備を進め、多くの人が見守る中で矢を放った。
340年以上前から続き、弓にまつわる祭礼ではもっとも古式に近いとされる。「百手」の名の通り、大前、小前と呼ばれる役主2人は、10日前から神社で先達からの指導を受け、数多くの所作を覚えてきた。
この日は早朝に海でみそぎを済ませ、地区の小高い丘の上にある神社から約50人のみこし行列で漁港近くの御仮屋まで練り歩いた。
神事の間も役主2人は弓と全身を使って厳かに所作を続け、大前が「カンの矢」と叫んで東西に一本ずつ遠矢を放つと祭りは最高潮に近づいた。2人が四股踏みのような所作を経て、直径約1・9メートルの的を矢で射抜くと観衆から大きな拍手が送られた。
大前を務めた会社員、小野剛さん(34)は「師匠2人の指導のおかげで上手にできた」と感謝し、小前の鳥取大2年山根蒼平(そうへい)さん(21)は「緊張したが、無事に終わり良かった。機会があればまたやってみたい」と話した。 (鎌田剛)