マージャンを楽しむ住民たちと、その様子を見守る高橋博会長(左から4人目)=松江市淞北台
マージャンを楽しむ住民たちと、その様子を見守る高橋博会長(左から4人目)=松江市淞北台

 高齢化率が40%を超えた松江市淞北台、淞北台団地(440世帯)の住民有志が、団地内の高齢者が気軽に集い交流できるサロンを開設した。高齢化が顕著に進む団地で「みんな楽しく元気に老いていこう」と新たな取り組みが始まった。 (今井菜月)

 

 1968年に分譲が始まり、入居者は働き盛りの30代が中心だったため、2000年以降、高齢化が進んだ。22年4月現在、65歳以上に占める75歳以上の後期高齢者の割合が70・5%で、松江市全体の53・1%を大きく上回っている。

 団地では、住民有志が01年に「淞北台いきいきライフを推進する会」を発足した。同好会活動などで交流の場を提供してきたが、高齢化の加速とメンバーの固定化で参加率が徐々に低下した。

 人との交流が減るとフレイル(虚弱状態)に陥り、認知症や要介護の引き金になるとの危機感が募った。同好会よりも気軽に寄り合える場が必要との声が大きくなり、交流サロンの開設準備を進めてきた。

 「いきいき交流サロン」と名付け、毎月第4日曜日の午後、団地内の会館で開催することにした。お茶やお菓子を口にしながら、ちぎり絵やカードゲームなどを思い思いに楽しむ。参加料は100円。団地の住民なら誰でも参加できる。

 3月26日の初回は、70~80代を中心に28人が参加した。ハーモニカが吹ける住民の周りで合唱が始まり、マージャン卓では初挑戦の参加者を何人もが見守った。歌を楽しんだ吉井茂(しげし)さん(89)は「久しぶりに童心に返って歌いました」とうれしそうだった。

 住民の理想は、病院や高齢者施設のお世話になるのではなく、地域で楽しく生きていくこと。高橋博会長(90)は「これからが活動の正念場。誰かにつくってもらうのではなく、自分たちで人生100年時代を生きていく」と話した。