1960年代にデビューした英国の四大ロックバンドといえば、ビートルズ、ストーンズ、フー、キンクスとされているが、当時、世界を席巻した「ブリティッシュ・インベージョン」では、米国や日本を中心に人気を集めた英国のビート・バンドが他にも多々あった。ビートルズの存在感が圧倒的だったせいか、日本では十把ひとからげに「リバプール・サウンド」と呼ばれていたのもご愛嬌(あいきょう)か。
米国で一時、ビートルズに匹敵するほど人気があったのが、マンチェスター出身のハーマンズ・ハーミッツ。ピーター・ヌーンの独特のユーモラスなボーカルがポップな曲に乗る。64年8月発表のデビューシングルで全英1位、全米13位のヒットとなった「アイム・イントゥ・サムシング・グッド(邦題・朝からゴキゲン)」はキャロル・キング=ジェリー・ゴフィンの黄金コンビの作。タイトル通り朝からゴキゲンな気分にさせてくれる。
他にも初の全米1位を獲得した「ミセス・ブラウンのお嬢さん」や、軽快なギターが楽しい「ヘンリー8世君」などが代表曲だ。

デイブ・クラーク・ファイブ(DC5)は「グラッド・オール・オーバー」でビートルズの「抱きしめたい」をチャート1位から引き下ろすなど米国でも支持された。ロンドン郊外の出身地にちなみ、「トッテナム・サウンド」と呼ばれて親しまれ、日本では当時、「ビコーズ」の人気が高かったという。

リバプール出身のサーチャーズも「ラブ・ポーションNo.9(恋の特効薬)」「ニードルズ・アンド・ピンズ」などがヒットした。
それぞれ、約30年前の学生時代に曲を聞き、ポップなサウンドと切ないメロディーに魅了された。曲が収録されたアルバムは当時、中古レコード店でもなかなか見つけることができず、足しげく通い、ようやく手に入れた輸入盤でよく聴いたのを思い出す。
64年6月にレノン=マッカートニー作「愛なき世界」で全米1位を獲得したのは、ロンドン出身の男性デュオのピーター・アンド・ゴードン。ピーター・アッシャーの妹がポール・マッカートニーのガールフレンドだったことから曲を贈られたというのだから幸運の持ち主だ。エバリー・ブラザーズの英国版とも称されたボーカル・ハーモニーが聞き心地よい。

「マージー河のフェリー・ボート」「ハウ・ドゥ・ユー・ドゥ・イット?(恋のテクニック)」などがヒットしたジェリー・アンド・ザ・ペースメーカーズは地元リバプールでビートルズと人気を二分。マンチェスター出身では、後にクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングの一員となるグラハム・ナッシュが所属し、「バス・ストップ」などのヒットで知られるホリーズ、全英2位を記録した「アイム・テリング・ユー・ナウ(好きなんだ)」のフレディ・アンド・ザ・ドリーマーズなども外せない。
今回触れることができなかったグループも含め、冒頭の四大ロックバンド以外にも名曲を残したバンドは数多い。約60年も前のブリティッシュ・ビートミュージックの魅力は色あせることがない。
(川)
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