玉造温泉街の一角で木桶(おけ)や装飾品など木製品を製造販売する「佐三郎桶店」(松江市玉湯町玉造)。職人の中祖佐三郎店主が定番の洗面器やたらいのほか、木桶のタンブラーや竹製のイヤリング・ピアスといったユニークな商品を相次いで開発し、日本の伝統文化の魅力や木製品のぬくもりを広く伝えている。
主力商品は入浴・洗面用に使う「湯桶」や花を生ける「掛け花入れ」など。一つ一つ丁寧に手作りする。
伝統文化を身近に感じてもらおうと、新たな商品や装飾品の制作にも積極的だ。2020年1月には「桶タンブラー(税込み8800~2万円)」を開発。強い浄化作用があるという真竹に着目し、女性向けのイヤリング・ピアス(同4千~8千円)も販売する。竹ひごを用いた「竹手編ブレスレット(同1300~8800円)」も人気だ。
商品は全て店舗のみで販売。新商品の開発にも余念がなく、楕円(だえん)型の桶に革の取っ手を付けた「桶バック」を今後売り出す。
桶に使う素材は、松江市の木材店から仕入れるサワラ。水や湿気に強く耐久性があり、重量も軽く扱いやすい。爽やかな色合いで上品な見た目が印象的だ。
桶や竹を現代の生活にマッチするように商品化し、伝統を絶やすまいと奮闘する中祖さん。「なくなってからでは遅い。消えゆく日本の文化を守るために、自分のできることを精いっぱいやる」と誓う。