4羽のひなを見守る「げんきくん」=雲南市大東町仁和寺、市立西小学校(西小学校提供)
4羽のひなを見守る「げんきくん」=雲南市大東町仁和寺、市立西小学校(西小学校提供)
コウノトリを模した餅菓子(左上)、観察に取り組む西小の児童たち(右上)、コウノトリが飛来する雲南市大東町下佐世の水田(下)のコラージュ
コウノトリを模した餅菓子(左上)、観察に取り組む西小の児童たち(右上)、コウノトリが飛来する雲南市大東町下佐世の水田(下)のコラージュ
4羽のひなを見守る「げんきくん」=雲南市大東町仁和寺、市立西小学校(西小学校提供)
コウノトリを模した餅菓子(左上)、観察に取り組む西小の児童たち(右上)、コウノトリが飛来する雲南市大東町下佐世の水田(下)のコラージュ

 国の特別天然記念物・コウノトリのつがいが、今年も雲南市大東町で巣を作り4羽のひなが誕生した。野外の同じ町で、5年続けて4羽のひなが誕生したのは国内初。コウノトリの関連商品開発といった波及効果にもつながっている。今後、さらに安定した繁殖活動の継続に向けては、市全体でのコウノトリがすみやすい環境づくりと市民の関心の高まりが鍵を握る。       (清山遼太)

 雲南で毎年ひなが生まれる背景には、子育て環境の良さが大きい。コウノトリの餌のドジョウが多く生息し、冬場でも餌が確保できる水田脇の「よけじ」と呼ばれる溝が役立っている。

 コウノトリの存在は子どもたちが地域に愛着を持つきっかけにもなっている。雄の「げんきくん」と雌の「ポンスニ」が、校庭の人工巣塔で巣作りに励む市立西小学校(雲南市大東町仁和寺)では、児童たちが生き物調査や観察に力を入れる。6年の松浦啓士君(11)は「町が豊かな自然に恵まれていると学べた。今後も町の象徴としてすみ続けてほしい」と望む。

 学校の敷地内に人工巣塔があるのは全国で、同校と兵庫県豊岡市立三江小学校の2カ所だけ。両校とも子どもたちが見守る中で毎年ひなが巣立っている。

 5年連続のひな誕生について、島根県立三瓶自然館サヒメル(大田市三瓶町多根)の星野由美子企画幹は「子どもたちが山で採った枝を校庭に置く巣作り支援や、生物多様性を守ってきた生産者の伝統的な農法による成果も大きい」とみる。

 ひなの誕生に呼応し、同市大東町大東の和菓子製造会社・金時堂は、コウノトリをイメージした餅菓子「ふくのおすそわけ」の販売を開始した。食紅で赤く塗った串はコウノトリの脚、あんこは翼の黒い部分を表現し、5年連続ひなが生まれたのに合わせて1箱5本入り。浅間尚子マネジャー(51)は「コウノトリへの思いを込めた商品を多くの人に届けたい」と話す。

 一方、コウノトリが今後も市内で営巣を続けていく上で課題がある。星野企画幹は「コウノトリがすみ着いている事実を改めて伝える必要がある」と指摘し、市民が環境を守る動きに参画する大切さを挙げる。コウノトリにちなむブランド品の売り上げを、営巣支援に用いる仕組み作りも説く。

 コウノトリを自然豊かなまちのシンボルと位置づける雲南市地域振興課の鶴原隆主幹は「市全域にコウノトリが暮らす町の魅力を広めていく必要がある。餌となる生き物を守る農業の継続に取り組み、経済効果を生み出していきたい」と見据える。 雲南で毎年ひなが生まれる背景には、子育て環境の良さが大きい。コウノトリの餌のドジョウが多く生息し、冬場でも餌が確保できる水田脇の「よけじ」と呼ばれる溝が役立っている。

 コウノトリの存在は子どもたちが地域に愛着を持つきっかけにもなっている。雄の「げんきくん」と雌の「ポンスニ」が、校庭の人工巣塔で巣作りに励む市立西小学校(雲南市大東町仁和寺)では、児童たちが生き物調査や観察に力を入れる。6年の松浦啓士君(11)は「町が豊かな自然に恵まれていると学べた。今後も町の象徴としてすみ続けてほしい」と望む。

 学校の敷地内に人工巣塔があるのは全国で、同校と兵庫県豊岡市立三江小学校の2カ所だけ。両校とも子どもたちが見守る中で毎年ひなが巣立っている。

 5年連続のひな誕生について、島根県立三瓶自然館サヒメル(大田市三瓶町多根)の星野由美子企画幹は「子どもたちが山で採った枝を校庭に置く巣作り支援や、生物多様性を守ってきた生産者の伝統的な農法による成果も大きい」とみる。

 ひなの誕生に呼応し、同市大東町大東の和菓子製造会社・金時堂は、コウノトリをイメージした餅菓子「ふくのおすそわけ」の販売を開始した。食紅で赤く塗った串はコウノトリの脚、あんこは翼の黒い部分を表現し、5年連続ひなが生まれたのに合わせて1箱5本入り。浅間尚子マネジャー(51)は「コウノトリへの思いを込めた商品を多くの人に届けたい」と話す。

 一方、コウノトリが今後も市内で営巣を続けていく上で課題がある。星野企画幹は「コウノトリがすみ着いている事実を改めて伝える必要がある」と指摘し、市民が環境を守る動きに参画する大切さを挙げる。コウノトリにちなむブランド品の売り上げを、営巣支援に用いる仕組み作りも説く。

 コウノトリを自然豊かなまちのシンボルと位置づける雲南市地域振興課の鶴原隆主幹は「市全域にコウノトリが暮らす町の魅力を広めていく必要がある。餌となる生き物を守る農業の継続に取り組み、経済効果を生み出していきたい」と見据える。