手指消毒してますかー。新型コロナウイルスの感染法上の位置づけが2類から5類に引き下げられてから8日で1カ月が経過した。新型コロナのまん延とともに広がったマスクや手指消毒の「日常」は変化したのか。役所やスーパー、観光地を歩き、検証した。
「手指消毒はほとんどしなくなった。コロナまん延期の10分の1くらい」。
6月5日午前、松江市役所に税金の手続きにマスクを着けて訪れた同市北田町の堺久幸さん(49)は話す。飲食店や家でも頻繁に消毒していたが、ほとんどしなくなったという。
実際に記者が1時間、市役所の正面玄関で消毒する人、しない人、マスクの着用、未着用を数えると、172人のうちマスクの着用者が約82%いたが、消毒した人は約15%だった。
結果を市役所の消毒液管理の担当者に伝えると、「(消毒は)個人的には、思ったより少ない感じ」と話した。
場所が変わるとどうなるのか。翌6日は出雲市今市町のスーパー・ラピタ本店に向かった。
事前にラピタ本店店舗管理課の中村将太係長に尋ねると「(消毒する人は)そんなに減っていないと思う」との回答。午後1時過ぎに1時間、出入りの多い南側入り口で調べた。
226人のうち約94%がマスクを着用し、約38%が消毒液の噴霧器に手をかざした。出雲市内の80代女性は「コロナは終わっていない。外出先ではやるようにしている」と口にした。
平日午後のスーパーは高齢者が多く、扱う商品も食品であることなどが数字に現れていることがうかがえる。中村係長は「噴霧器はまだ撤去できないですね」と見通した。
県外の人が訪れることが多い観光地はどうか。最後は7日、松江城の天守に行った。
正面入り口で数えると、174人のうち消毒した人は約27%。おもてなしボランティアとして入り口に立った梅木泰孝さん(76)は「コロナ禍のまっただ中より、半分以上減った印象」だという。マスクの着用者は約37%だった。
石川県から訪れた水上隆司さん(62)は「5類以降は感染対策の意識がだいぶ薄れた」と話す。一方、消毒液があれば、できる限りするという高齢夫婦の声もあった。
まちを歩くと、時と場合に応じて、消毒もマスクも使い分ける人の姿が見えてきた。厚生労働省は手指消毒が基本的な感染対策として有効だと示している。コロナの5類引き下げ以降も、健康を保つための手段として新型コロナ対策は残り続けている。 (古瀬弘治)