■短 歌 寺井 淳選

百年を生きたる母にあやかると花柄の杖愛用の夫(つま)     松 江 森脇よし子

 【評】ゆかしい夫君の振る舞い。きっと余慶があるでしょう。四・五句目の、aの母音と「つえ」「つま」の音のリズムもよく工夫されている。

伯備線宇高航路を乗り継いだ昭和の故郷目を閉じて観る      松 江 中山カズ子

 【評】「故郷」という一事が、伯備線と宇高連絡船を乗り継ぐというかつての行路に託されて、ありありと感じられる。(原作に少し手を入れました)

新聞の入る音する朝三時わ...